2月7日の早朝でした。
心地良い朝の眠りを中断する、携帯電話のベルが鳴り響きました。
「何だろう?こんな朝早く・・」
出てみると姉からの電話でした。
朝早くの電話はあまりいい知らせであるはずはなく、いやな予感がしました。
「今施設から電話があってね。〜がねえ・・」
聞いてみると施設にショートステイしていた家族を、朝施設の人が起こしに行ったら呼吸はしているけどまったく反応がなく、救急搬送されたとの知らせでした。
23年前に脳梗塞をおこし言語と右半身が麻痺して以来、不自由な生活をしていたのですが、再発することもなく過ごしてきましたが・・ついに再発?
二年前に転んで外傷性のくも膜下出血をおこしさらに障害が悪化しましたが、ここにきて順調に回復をたどっていたので寝耳に水のような衝撃が走りました。
まったく状況がわからないまま、待機することになりました。
昼前くらいにやっと行き先の病院などがわかりました。
そして午後になりまた連絡がきました。
するとなんと、回復したとのことでした。
症状は一過性の脳梗塞とのことで、
意識を一旦失っていたらしいのですが、数十分後に意識が戻ったとのことでした。
とにかくほっとしました。
当日は仕事は結局すべてキャンセルになりました。
☆☆☆☆☆
一過性の脳梗塞・・
実は今回の家族ほどひどくはありませんでしたが、私も経験があります。
約十年前、まだサラリーマン時代の話です。
約17年勤めていたその会社で今だから言ってしまいますが、実はいわゆる「パワハラ」(パワーハラスメント)と思われる待遇を受けていました。
きっかけは何かの時に口答えか何かをしたというように記憶しています。
当時の上司は社内でも変わり者と言われていて、平気でそういう行為をするようなタイプでした。
また会社の業種的にもそのような文化が残っていて、社内でも当時は私のような目に会っていた人はかなりいたと思います。
約半年くらいそのような状態が続きました。
精神的にはなんとか大丈夫でしたが、だんだん体調が悪化してきました。
というのも冬場になり寒くなってきたのに、一日中外に出され、お客さんを回らされました。
食事や休憩をするような場所はほとんどなく、コンビニの肉まんを店頭で食べたり、駅前で携帯を使い2時間くらいセールスの電話を毎日のようにしていました。
たしかクリスマスイブの翌日くらいだったと思いますが、ある朝会社で来店したお客に対応しようと席を立ちカウンターの方に歩こうとしました。
そのときです。
左目から見える景色が変になりました。
すべてが波打っているように波目模様にみえました。
そして歩こうと思い一歩足を出しましたがバランスがとれなくて歩けません・・
「え?」
何が起こったのか自分でもわかりませんでした。
片手を机にかけて歩こうとしましたが、反対側に大きく傾いてしまい、まったく歩けない状態でした。
「どうしよう。もしかしたら・・」
他の人も少し様子がおかしいと感じたのでしょうか、私の様子を見る人もいました。
左目のまだら波の景色はしばらく続きました。
このまま死んでしまうかもしれない・・
本当にそういうふうに感じました。
ところが数分後、急に元に戻り始めました。
そして何事もなかったように普通になりました。
ただ熱があるような感じになり、頭が少し痛んできました。気分も少し悪くなってきました。
すぐに近くの病院に行き、検査をしたら血圧が下で100を越えていました。
私はどちらかというと低血圧でしたのでびっくりしました。
午後に専門の病院で検査をすると一過性の脳梗塞を起こしたのだろう、という診断をされました。
仕事の内容や状況をありのままに話すと、医者は
「その仕事はできれば長く続けないほうがいいね。もし今度再発したらこんなもんではすまない可能性もあるよ」
と言われました。
その日は家に帰してもらい、2〜3日静養しました。
これを機会に会社を辞める決意をかためました。
その後私は転勤してその環境から逃れることができましたが、数ヵ月後に会社を辞めてしまいました。
そしてそのまま今に至っています。
あのときの景色がグニャグニャに見えた感覚は今でもはっきりとおぼえています。
多分一生忘れることはないと思います。
「一過性の脳梗塞」
この言葉を聞いた時、そんなことを思い出してしまいました。
思い出したくもない思い出ですが・・これが現実の話です。