何の番組だか忘れましたが、以前北海道の知床などに生息する鷲(ワシ)の生態を紹介している番組を見ました。
ワシは鳥の中では最大、特に知床などにいる大ワシやオジロワシなどは羽を広げると2メートルくらいにもなるのがいるそうです。
飛ぶスピードも早く、くちばしは鋭く、さらに最大の武器である爪は人間などでもとても太刀打ちできないのではと思うほどです。
そんな恐ろしいハンターである「ワシ」の習性を興味深く見ることが出来ました。
特にその巨体と抜群の能力で狩りをするところも見られるというので興味深々でした。
ほどなくテレビの画面には流氷の上にいるワシたちが映し出されました。
立派なくちばしに、鋭い眼光、貫禄ある姿には敬服するばかりです。
そして一羽が動きました。
海の魚に狙いをつけたようです。
一回空高く飛び上がると、急降下して海面に突っ込んでいきました。
と、一発でそこそこの大きさの魚を爪でしっかり捕まえました。
さすがです!
このワシを「捕まえたワシ」と名付けましょう。
「捕まえたワシ」はさっそうと他のワシたちが休む流氷の上にもどっていきました。
しかしそこから急に異変がはじまりました。
「捕まえたワシ」は急にとなりの流氷に乗り移ったのです。
すると元の流氷にいたワシたちが動き始めました。
最初に動いたのは、ドラえもんでいえばジャイアンのような大柄で意地悪そうなワシです。
ジャイアンワシ「ご苦労、ご苦労ワシのために」
捕まえたワシ「何をいうか。これはワシのもんだ。お前なんかにやるかいっ」
ジャイアンワシ「何を、ワシをだれだと思ってるんだ、それなら力づくで取ってやるまでさ」
というとジャイアンワシは捕まえたワシに飛び掛りました。
「ひぇー!」
まともに戦ったら勝てるわけはありません。
捕まえたワシは振り切ろうとして逃げました。
「逃がすか!」
ジャイアンワシは飛んで逃げようとする捕まえたワシに今度は空中で飛び掛ろうとしました。
壮絶な空中戦です。
「ギャーっ」
捕まえたワシは捕まえた魚を放してしまいました。
流氷の上に魚が一匹・・
すると今度は近くにいた人間にたとえるとたかじんみたいなワシが近付いてきました。
「よっしゃ!ワシのもんや!」
たかじんワシが魚を押えようとしたときです。
ジャイアンワシ「それはワシのだ」
たかじんワシ「いやワシんじゃ」
今度は2羽で取り合いになりました。
「わりゃぁ、よこさんかい、ボケっ!」
つばぜり合いです。
すると他の休んでいたワシたちも参戦してきました。
「ワシだ!」
「ワシのだ!」
最初の捕まえたワシもまた戻ってきて参戦です。
「ワシのが・・、返してくれーっ」
もう5〜6羽がたかって格闘状態です。
ガツっ、バシッ、ガツッ、バシッ
なんとワシはあの立派な体と武器を持ちながら、他のワシの取ってきた獲物を横取りするという習性があるみたいでした。
だから流氷の上で誰かが獲物を捕まえるのをじっと待っていたのでした。
なんとセコイ・・
そしてあの立派な武器や能力は横取りする時に戦う時に全開になるようでした。
あの鳥の王者のワシが・・、横取り攻撃・・
激しい戦いはまだ続いていました。
そのうち皆空中戦になりましたが、また流氷の上に降りてきて壮絶な戦いが始まりました。
ガツっ、バシッ、ガツッ、バシッ
「ワシじゃ!」
「ワシのを・・」
「ワシんだ!」
「ワシや!」
もうどれが捕まえたワシか判別できないくらいになりました。
そのうち取り合っているうちに魚がぽんと大きく跳ねて上にあがりました。
そして皆が戦っているところの真ん中に、ポンと落ちました。
魚は皆の取り合いに巻き込まれてもうズタズタになっています。
皮はボロボロ、原型がわからないくらいに傷がついています。
最初はスマートでかっこいい魚に見えましたが、今はその影もありません。
そして魚はいいました。
「じぶんら、ええ加減にせえや!」
☆☆☆☆☆