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「ミラクルエイト」という言葉が以前一部の業界の人たちの間で使われていました。
昔右肩上がりの経済成長が続いている時代に、債券運用などに携わる人たちの間では、表題の「ミラクルエイト」という言葉がありました。これは運用における一種の格言で、「長期債(10年ものの国債)の実勢金利(マーケットでの債券の流通利回り)が8%に近付いたら目をつむって買っておけ」というような内容でした。

債券は株式と違い資金を調達した発行体が期間がきたら、出資者に元本を返済しなくてはいけません。もちろん期間中は約束した金利を支払うことも必要です。
つまり簡単に言えば、銀行の預金などとほとんど同じ構造になっています。
 原則的には新規に発行したときに購入して、償還(いわゆる満期)に元本を受け取るという形式で保有するものですが、日本国債など保有者が多く、信用力も高く、流通が可能なものは途中の期間でも売買が可能になっています。
売買価格は当然その時の売りたい人、買いたい人の値段の折り合いがつく価格になります。この辺は株式と同じような相場ということになります。
ただ株と違うのは発行体がつぶれない限り、途中でもらえる金利や最後に受け取れる金額がすでに決まっているので、その合計に対して今、いくらの値段であれば売りたいか、買いたいかの折り合いということになります。

 たとえば100円で発行して、1年間に3%の金利を払い、10年後に100円で償還(満期)になる国債だと、

・あと5年後に償還、本来100円のものがその時は110円で流通していると、途中で買った人は、110円で年間3円の金利を5年間もらい、5年後に100円を受け取ることができます。

その場合、最初の元本の110円に対し、5年間で金利15円と償還の100円を足した合計115円のお金を手にすることが出来るという勘定になります。

とすると、110円が5年間で115円になるということで、1年あたり1円ずつプラスになるということになります。
そこから1年あたりの金利換算成果は110円、で1円で、利回り約0.9%ということになります。

 また同じ条件のものが90円で購入できたとすると、その場合、最初の元本の90円に対し、5年間で金利15円と償還の100円を足した合計115円のお金を手にすることが出来るという勘定になります。
とすると、90円が5年間で115円になるということで、1年あたり5円ずつプラスになるということになります。
そこから1年あたりの金利換算成果は90円、で5円で、利回り約5.5%ということになります。

つまり最初に発行したときは市場の金利が3%だったのが、5年後に前者は1%になって、後者は5.5%に成ったということになるわけです。
 ※途中購入なのでこの場合は5年間の金利になるのですが、話が複雑になるので大雑把な話になるのでご了承ください。

このことから債券が高くなる状態というのは金利が下がっていくということになり、逆に債券が価格が安くなるということは金利が上昇していくというこになるわけです。

ひじょうに前置きが長くなりましたが、このことを踏まえると、金利が8%近くまで上昇するという状態は金利が大きく上がった状態ということがいえると思います。

つまり種々の原因で債券価格が大幅に下落したということです。 このような局面では債券はひじょうに安価で購入することが可能になり、まずは保有しているだけで大きな成果が得られることが確定できます。
というのは株式と違い決まった金利をもらい、しかも何年か後に約束された償還金が保障されているからです。
でもそのような状況なら金利が高い状況なので、銀行などで預金しても同じような効果が得られるはずで、債券を買うことの独自の効果は期待できません。

しかし債券は前述のように常時流通しているので、例えばその翌年などに大きく金利が下落し始めると本体の流通価格もさきほどの論理で大きく上昇して短期で値上がり益が出る可能性があります。
これが債券を運用する中では、最大の大きな果実といわれていました。 つまり償還まで保有するもよし、場合によっては常に有利な価格で換金することが出来る状態になるわけです。

「ミラクルエイト」というのは日本では長期金利はどんなに上昇しても8%を越える状態はさまざまな要因から考えにくく、8%近辺のときに買っておけば先述のようにきわめて有利な資金運用が可能になるという、格言だったわけです。

これは過去の世界経済が安定していた時の話であったということになります。
そしてこれは先進国の国債など信用力の高いものであれば、原則すべてあてはまる話になっていました。

ところがところが、

ここのところの米国のサブプライムローン問題やヨーロッパの信用不安などで、信用力の高い国債などが、信用力の低下によって大きく売られて、価格が大きく下落する局面が多く見られるようになりました。
この問題はここ最近特に顕著になってきています。

元来債券市場での運用者は、保有者が安定している、直接参加する個人投資家や素人の投資家が少ない、長期で大きな金額を保有しているなどの要因からプロの市場といわれています。
ですので多少はあるにしてもパニック売りや、狼狽売りなどが株に比べて少ないといわれています。
また保有者は権力中枢にも近い、調査・情報力や知識が高いなどの要因から他の経済現象にさきがけて価格変動が起こるケースさえあるといわれています。
つまり一般の人たちが既成事実として表面化して把握する前に、資金の移動がはじめる可能性が高いというふうに考えています。

今「ミラクルエイト」の神話はくずれ、イタリア、フランスなど主要先進国の国債の価格が下落をはじめています。
このさきの世界情勢に大きな波乱が起こる可能性というのも現実的になってきていると、警戒しておく必要が出てきたと感じています。

今回さかんにニュースで欧州の一部の国債の利回りが7%超え?というニュースを見ていて、「ミラクルエイト」の話を思い出して取り上げてしまいました。

ところが現実はもっと深刻な局面に入ったと感じています。

たとえば、今資金運用をしている場合、(証券投資の場合ですが)

・為替を分散する
(為替は相対評価なので日本の円が世界で独歩高が続かなければ多少和らげることができますーといいつつも独歩高状態に近いですが・・)
・資源のある大国(米国、中国など)や明らかに他の国より将来的に発展しそうな国(????)などにも分散する
・債券も発行体を分ける・相場が下落すると利益があがる商品も一部運用に組み込む
(現代は運用技術の進歩でそのような金融商品はたくさんあります)
・株式などでは銘柄を分散する
(円高、円安でそれぞれ利益が出る会社に分けるのも一法です)

などまったく個人的な見解ですが、上記のようなポートフォリオの見直しを検討されてもよいのでは、と思っています。

今までの経緯でもことが起こってから、身動きをしようとしてもなかなか判断もつかず、タイミングもはかりづらくなります。

株式なども、ここまで世界や国内が騒然となると、本当に必要な物資や技術(水、食料、資源、エネルギー、医療、介護、輸送など)やセキュリティー、防犯、防災などこれからの時代を反映するようなことに関係した会社の株などは逆に一時的に下がっても、見直されるときがくるかもしれないと感じています。

こうなると一番もろいのはサービス業なのかもしれませんね・・

つぶしが利かないっていうのは、こういうことなのだと、つくづく感じています。

サービス業の男よりの戯言