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B級グルメの祭典、B1グランプリが開かれました。

最近はご当地の焼きそばというのが本当に流行っています。
今年も岡山のひるぜん焼きそばが優勝しました。
(開催地の姫路に近いというのもあるのかもしれませんが・・)

考えてみたら、今年台風の中を旅行に行き、最初に当地で立ち寄ったのが「蒜山高原」でした。
ところが焼きそばソースは買わずにそばを買ってしまったのを少し後悔しています。

ところで最も身近なB級グルメといえば、日本人に昔から生活に密着していて、手軽に食べられ、親しまれているそばやうどんではないでしょうか。

関東の人はうどん・そば、どっちが好き?
と聞かれれば、多くの人がそばと答えるのではと思います。
実際私もそばのほうが好きです。

逆に本場の四国や関西では多くの人がそばよりうどんが好きなのでは、と思います。

それくらいうどんは関西中心の食べ物であり、四国や関西が本場といわれています。

たしかに讃岐に行った人から土産でもらううどんはとても美味です。

そして関西の人は「うどんでも食いに行くか」と、関東の人が「そばでも食うか」という時同様、日常的に使いますし、今の時代はわかりませんが、昔は大阪で年越しそば以外でそばを食べたというより、そばを茹でたのを見た記憶はまったくありませんでした。

さらに言えば、名古屋(これもある意味関西に含めて考えていいとすれば・・)でも味噌煮込みうどんという強力な食べ方が存在しています。

しかしどうしてどうして・・、

関東地方以北でもうどんがひじょうに有名な地域はけっこうあります。

もちろん全国的に有名な群馬の水沢うどんや秋田の稲庭うどん、山梨・富士吉田の吉田うどんは皆さんご存知だと思いますが、これらはかなり限定された地域のものです。

私たち関東人にとって、もっと身近でうどん文化が広範囲で浸透している地域があります。

それは栃木県の佐野市や群馬県の館林市、埼玉県の加須市などがある利根川流域の地域です。

加須のうどんは最近のご当地グルメブームでかなり有名になっているようですが、同じような環境である対岸の群馬、栃木県でもうどんは大変親しまれています。

昔証券会社に勤めているとき、それなりの大手のお客様で栃木県の佐野市出身の方がいらっしゃいました。
あるお客様の近所の方で、紹介していただきお客様になっていただきました。

いろいろな事業を手広くされている中小企業の経営者で、顔もよくテレビに登場するようなちょい悪の大物政治家みたいないかつい感じの方でした。
言葉は関東弁がなおらなくて少し訛っていました。

そのため怒らなくてもこわい感じで、気の小さいセールスマンだった私は少し遠慮がちに接していたのをおぼえています。

それでも段々と取引を増やしていただき、頻繁にご自宅にうかがうようになりました。

ある日、いつものように受け渡しに行くと、社長が、
「お前、今日は昼飯を食べていけ」
といわれました。

午後の取引もあるし、社交辞令だと思い、
「いやあ、今日は急いでますんで」
とさりげなく断ろうとすると、

「いや、もう作ってるんだから、食べてけ」
というではありませんか。

ああ本気で言われたんだ、とそのとき初めて気付きました。

けっこう取引もしてくれるし、そこそこの友好関係は築けていましたが、なかなか入り込めない部分もあり、正直に言えば「少し苦手?」というふうに思っていました。

躊躇していると、

「ほらできたぞ!」

出てきたのは茹でて、水で冷やしたうどんでした。

『なんだ、うな丼でも用意してくれたのかと思ったら、うどん?』

しかも他にはお椀しか出ていません。

でも何か今までの展開とは違ってきたように感じ、
「それじゃ、ありがたくいただきます!おつゆはあるんですか?」
と言うと、

「おつゆは味噌だ。ほら味噌もってこい」
と奥さんに味噌を頼みました。

「はいはい、いつものね」
奥さんも佐野の方でした。

「え?味噌ですか?」

「そうだこれがうまいんだ。とにかく食べてみろ」

へえ、聞いてみると、お椀にうどんを入れて、味噌だけまぶして食べるということでした。

しかし、食べてみると、

『う・うまい・・』
これが本当に美味しくて驚きました。

味噌は普通の味噌を少し甘くした感じですが、しっかり辛味も残っていました。また豆粒が入っている田舎風の味噌でした。

「どうだ、うまいだろう!」

「いやあ美味しいです。びっくりしました。こんな食べ方があるんですね。ありがとうございます」

「これは俺たち(夫婦)の田舎の佐野の食べ方なんだ。うどんも向こうから取り寄せてるし、味噌も特製なんだぞ」

冷うどんをこんなふうに食べることは初めてのうえ、うどんの美味しさと味噌の美味しさが加わり美味しいを飛び越え、感動の域に入りました。

私の実家では昔から肉味噌に茹でた温うどんを絡めジャージャー麺という食べ方をしていましたが、
(ジャージャー麺は本来は中華麺で食べるものということをだいぶ後にしりましたが)
いずれにしてもその味ともまったく違う味で、とにかく本当に美味しかったです。

食べ終わると、社長はうどんの入った大きな箱を持ってきました。
「お前のために半分やるよ。一人暮らしなんだからちょうどいいだろ。簡単に食べられるからな」
と言って、2〜300グラムくらい入った袋を10個くらいくれました。

「あ・ありがとうございます!」

そのことがとてもうれしく、その日から家に帰ると美味しいうどんがたくさんあるので幸せな気分になりました。

うどんの袋はよく見ると、佐野市の「鶴里」という会社が作っているようでした。

美味しいのであっという間に食べてしまいました。

でもまだまだ食べたくて、ついには「鶴里」に電話して、大箱入りで取り寄せをしてしまったほどです。

考えてみると、そのことがあってからなんとなく苦手だったあの社長とも心が少しは通じ合えたような気持ちになりました。

もしかしたら向こうも少しそんなふうに感じていたのかもしれません。
以心伝心といいますから・・

聞いてみると社長には私より年上の息子さんが二人いて支店の経営を任せていたらしいのですが、別に住んでいたみたいなので、私を見て息子のように思ってくれたのかもしれません。

それにしても、あの時のうどんと味噌の見事なコラボされた味が今でも忘れられません。
もちろんその時のあの社長のあたたかいもてなしも含めての話ですが・・

☆☆☆☆☆